藤原伊織『ダックスフントのワープ』文春文庫
・302ページ ・累計ポイント 646+302=948
本書についても著者についても全く予備知識なく読み始めたのだが、劇中でヘーゲル(『歴史哲学』)が引用されて唖然。なるほど表題作はじめ本書に収録された4編の作品は、注意して読むと(そして末尾の解説でも評されているのだが)「ヘーゲル的なもの」を感じさせる。あまりにも理不尽な現実に直面して、これこそが理性的なことなのだと言わんばかりに淡々と接する主人公たち。
そして、こういう物語を読んでその理不尽さを堪えがたく思う人ほど、マルクスを読むのに向いているんじゃないかな、という雑感。
六冊目は、C.シュミット『大統領の独裁』田中浩・原田武雄訳、未来社