ひろば100時間読書のログ

東京大学書評委員会ひろばが行う「100時間読書」のログです。

一冊目読了 兼平 19:17

松岡和子 訳 『ハムレット』 ちくま文庫

296ページ 累計ポイント 296ポイント

ドン・キホーテ型」と対比される人間類型「ハムレット型」でもおなじみ、思慮分別はあるが行動力に欠ける人物の代名詞ともされるハムレットではあるが、実際に読んでみると、飄々とした皮肉屋であり、ここぞという時に適切に行動する勇敢さも兼ね備えた人物と看ることも可能だろう。寧ろ先述のイメージは、ハムレットの独白に頻繁に姿を見せる自己批判の中で立ち現れるように思われる。
シェイクスピア作品を読むのは初めてであったが、単なる文学の域を超えたレトリックの宝庫としての側面を存分に味わうことができた。

二冊目は、筒井康隆『農協月へ行く』を読みます。