四冊目読了 TenkNiccolo 22:36
・175ページ ・累計ポイント 319+175=494
いい先生・わるい先生は「識見が高いか否か」「人格が高潔か否か」「授業が面白いか否か」云々で判断できる、
といった、世にはびこる「先生査定」とでもいうべき現象を喝破するのが本書だ。
本書は中学生・高校生を読者層として意識して書かれたため、口語調で読みやすい。勿論、ラカンを始めとする難解な思想も登場するが、具体例を豊富に用いて解説しているので、難解さを恐れる必要はない。
誤解することによって師弟関係は始まる、と筆者は述べる。つまり、誰から見ても「いい先生」などというものは存在しないのだ。「先生」と「弟子(学習者)」のコミュニケーション関係を分析し、からいかに「先生」というものが「弟子」というものが機能するかを明かしてゆく。
しかし、書評していくうちに、本書より難解な言葉遣いになってしまった。これでは失敗である。
「コミュニケーションはつねに誤解の余地を確保するように構造化されている(本書p149)」
という言葉を残して下手な書評者は退散させていただこう。