ひろば100時間読書のログ

東京大学書評委員会ひろばが行う「100時間読書」のログです。

# 11冊目読了 レン

袋小路の男
絲山秋子

獲得ポイント:179
累計ポイント:744+179=923

男と女の関係を描いた短編が3本収録されています。人と人の間を表現する作品において読者がいかに楽しめるかは、その”人”にどのくらい入り込めるかが重要になってくると思うのですが、(もちろん他のこと、表現とか、ストーリイとかに重きを置いてもいいと思います。要は)登場人物の小田切や大谷、哲、などには特に入り込めませんでした。もちろん、小田切が生き詰まっている様子や大谷が小田切を思い続ける感情、作品を覆う閉塞感は感じられたのですが、だからそれで?、という程度に止まりました。これは秋山さんの芸風である、そぎ落とされて純化された感情の表現と、登場人物の変わらなさ(最初から最後まで変わらない人格、もしくは、ストーリーの排除)に起因していると思います。(逆に、ストーリーを排除しているために作品が短くなっている面もあると思います)
 つまり、この芸風はいかに面白い切り口を見せるかによって作品の巧拙が左右される、と思うのです。今回はその切り口が私にはしっくりきませんでした。経験が足りないせいでしょう。

ごちそうさまでした。新井さんどうも。

次はくじ引きの番号が被ったため、過去のひろばです。