11冊目読了 TenkNiccolo 18:12
・352ページ ・累計ポイント 6+352=358
・自分の興味ある分野ともろにかぶっていたので、読むのに時間がかかった。
一般的な『ナチズム』のステレオタイプでは、民衆を有無を言わさず弾圧し、プロパガンダ・宣伝を鳴り響かせる、とういうイメージが一般的かと思われるが、本書は農村と炭鉱町の民衆の日常生活をもとに、ナチスの実像にせまり、そのイメージを払しょくする。
本書の研究は、市民インタビューを元にしているため、ナチス統治下の生活の息遣いが感じられ、それを分析すると、カオス的な秩序を保っている第三帝国が浮かび上がってくる。その第三帝国の根底に存在したのは、「非政治的な回路をつうじる合意の形成」である。
ヒトラー・ユーゲント(ナチス青年団体)に入れてもらえなくて親をナチに告発した息子、友達の共産党員を助けるために情報をもらすナチ党員等々、一面的には理解できない生の生活世界にナチズムの深さ・恐ろしさを感じられるだろう。